昔、麻疹(はしか)は「命定め」と呼ばれるくらい恐れられた子どもの病気でした。現在でも、世界の開発途上国を中心に1年間に約80万人,日本では約50人が死亡しています。「だれでも一度はかかる」とか「自然にかかった方が良い免疫ができる」といった誤解があるためか予防接種率が上がりません。
日本は他国からの輸入感染症を食い止めようと必死になっていますが、麻疹に関しては日本が「麻疹輸出国」として、世界から゛ひんしゅく゛を買っていることを皆さんはご存じでしょうか。アラスカでは一人の日本人幼児から33人への集団感染を引き起こしたとして問題になりました。アメリカでは就学時に未接種児童は入学できないシステムを取っており、麻疹発生が激減しました。これは、重症化する1歳未満の乳児を守るための仕組みでもあるのです。日本でも予防効果の高い麻疹の予防接種を効果的な年齢で接種しておけば、麻疹撲滅は可能なのです。