「体制見直し」のお知らせ(2012年6月)

 平成18年11月に始まりました「地域連携ささえあい小児診療」も丸5年半が経過しました。途中飯塚病院の家庭医や初期研修医の参加もあり、現在では地域小児科医と飯塚病院小児科常勤医それに院内家庭医・研修医の三位一体で守る小児救急「飯塚方式」がすっかり定着しました。先生方のご協力に心よりお礼申し上げます。 この度“ささえあい小児診療”の体制見直しを検討させていただきました。飯塚病院および頴田病院の家庭医が増え、小児救急外来の研修の需要が高まってきたこと、さらに“ささえあい登録医”の年々の高齢化による登録辞退者が予想されること、また新規登録医が増えないことなどにより、年々出務状況が厳しくなってきたなどからシステムの見直しが迫られました。このように家庭医およびささえあい登録医のメリット、デメリットを考え、以下のようにシステム変更を提案しました。筑豊小児科医会役員会および登録医の先生方へのアンケート調査でも諒承していただきましたので、ご理解およびご協力の程よろしくお願い申し上げます。
<ささえあい新体制>
 変更前は“ささえあい登録医”の希望を考慮しながら、ランダムに出務日を決めさせていただいていましたが、これからは毎週月・水・金の準夜帯枠を家庭医が、火・木の準夜帯枠を“ささえあい登録医”の枠とさせていただきました。これまで毎月1回出務の先生方が18名中9名いらっしゃいましたが、システム変更により2ヶ月に1回程度となり負担が軽減されるのではないかと思います。また変更前は、当日キャンセルも多かったことより、ゆとりができたことでキャンセルを減らし、なるべく代診を立てられるようにお願いしたいと思います。この新体制は7月から導入を決定していますのでご諒承ください。

小児療新体制”

準夜

研修医

修医

研修医

研修医

家庭医

家庭医

家庭医

深夜

常勤児科医

常勤 小児科医

小児科医

常勤 科医

勤小児

入院 /救急車

常勤児科医

常勤 小児科医

小児科医

常勤 科医

勤小児

研修医のGoal

児診療に慣れる, の不安に向き合う, &アクション, ショ実践

家庭医のGoal

入院適応の判断,小児科医へ適切な ルト,研修医の指

Goal

○地域医療に貢献,○研修医に小児科魅力を伝授,○顔の見える連携

▲ ページトップへ

「第3回ささえあい意見交換会」(3/10/2011)

徳山中央病院小児科部長の内田正志先生が「周南地域休日・夜間こども急病センター(周南こどもQQ)の開設にいたる経過と開設後の動向」と題して御講演されました。その概要をご紹介します。
内田先生が徳山中央病院に赴任されてから、休日夜間急患センターへの参加、そして“周南こどもQQ”の開設とその後の状況についてお話をされました。山口県周南地域(人口26 万人)の基幹病院が社会保険徳山中央病院(ベット数500床)です。周南地域は3つの医師会(徳山、下松、光)で構成されています。筑豊地域でも、基幹病院である飯塚病院と3医師会(飯塚、田川、直方鞍手)がありますが、周南地域と共通点があり、地域医療の実践に関して、非常に参考になった講演でした。
○徳山中央病院に赴任して

  • 平成6年8月、内田先生は徳山中央病院小児科部長として赴任。当時4人の小児科医がいたが、山口県周南地域の基幹病院である徳山中央病院小児科の役割として、小児の入院患者を確実に受け入れること(断らないこと)、未熟児・新生児医療(NICU)の充実させること、2次救急医療を充実させることの3つを目標とし、リーダーとして指導的役割を果たしてきた。

○休日夜間診療所への小児科医の出務

  • 平成2年に、当時の行政主導の徳山休日夜間診療所(内科・外科・小児科診療)が開設されたが、当初は地域小児科医の参加はなかった。平成11年6月より、徳山地域の小児科医全員が出務して、小児の1次診療を担うこととなった。そして2次救急患者の受け入れ病院を明確にすることとし、その受け入れを徳山中央病院が担当、入院が必要な小児をすべて受け入れることとした。小児科医が出務するようになってから、小児科受診者数が急激に増加し、また周辺地域からの小児の受診者数が増えてきたことから、平成13年8月に周南地域の3医師会(徳山、下松、光)による救急医療協議会が開催され、徳山以外の地域小児科医の参加による広域化が実現した。

○周南地域の小児救急医療の問題点

  • 休日夜間診療所への地元徳山の小児科医の出務、その後の受診患者数の増加に伴い、周南地域全体の広域化が実現したものの、ハード面、ソフト面での問題点を有していた。ハード面は、施設の立地の問題で、この休日夜間診療所の場所がわかりにくく、幹線道路から入る道が狭いという交通アクセスの点。ソフト面では、一次救急は休日夜間診療所が担当するとは言え、2次救急担当としての徳山中央病院に、相変わらず一次救急患者が受診しており、同院小児科勤務医の負担が大きいという点であった。そこで1次救急と2次救急は近い方が何かと好都合であるということで、休日夜間診療所の小児部門を徳山中央病院に移転しようとする運動が起こった。

○「周南地域休日・夜間こども急病センター(周南こどもQQ)」の開設

  • 移転運動への追い風となったのは、子育てをしやすい日本一の街つくりを目指す新しい周南市長の誕生と、地域の基幹病院としてなくてはならない存在を目指そうという新病院長の後押しもあり、平成20年10月、3市(周南市・下松市・光市)3医師会(徳山・下松・光)と徳山中央病院による協定調印式がなされ、同年11月30日に「周南地域休日・夜間こども急病センター」が徳山中央病院内に開設された。

○「周南こどもQQ」の診療内容

  • “周南こどもQQ”の時間帯は、休日は9:00~17:00、夜間は19:00~22:00までとなっており、出務する小児科は15歳までの小児の内科疾患(耳痛、中耳炎は含む)の一次救急患者のみの担当としている。併設されている徳山中央病院小児科医(6名)は、入院が必要な場合と、その他救急車で受診した患者、紹介患者、誤飲患者、慢性疾患でリストアップしている患者を担当することとし、役割分担を明確にした。22:00から翌朝7:00までの受診患者は、徳山中央病院の内科系当直医が対応(但し5歳以下の未就学児は病院小児科医が対応)している。この“周南こどもQQ”の全登録医は34名で、開業医と勤務医の地域小児科医は全員参加型としており、広島大学小児科からの自主参加もある。

○「周南こどもQQ」開設後2 年間の振り返り

  • 受診患者数は夜間平均15名、休日昼間平均60名程度で、開設前の約1.5倍に増加、2次への紹介率は2~3倍になった。地域小児科医の出務により、徳山中央病院小児科当直医が午後10時までの一次救急患者の診察に呼ばれることはなくなり、本来の業務である入院患者や紹介患者の診療に集中できるようになった。午後10時以降の救急受診患者数には大きな変化はなく、勤務医の負担軽減につながっている。

○周南地域の小児救急医療の取り組みの教訓

  • 休日夜間診療所への地域小児科医の参加と広域化の実現、さらには行政主導の診療所から基幹病院である徳山中央病院への移転・移管(民設民営化)が可能となった背景に以下のようなことが考えられる。
    • 1、小児科医会が「こどもは社会の宝」という視点を明確にして、先頭に立って積極的に取り組んだこと。
    • 2.開業医と勤務医が協力して小児の1次救急を担うことと2次の受け入れを明確にしたこと。
    • 3.医師会が小児科医会の活動を理解し、全面的に支持したこと(医師会の壁を破った)。
    • 4.周南地域の各自治体や病院が小児科医会の活動に理解を示し、英断をしてくれたこと(自治体の壁を破った)が挙げられる。

○まとめ

  • 「周南こどもQQ」の開設後の振り返りから、以下の点がメリットとして挙げられる。開業医と勤務医が協力して、小児の1次救急を担えるようになったこと(医療資源の有効活用)。2次救急の受け入れに基幹病院が責任を持てたこと(役割分担の明確化)。新型インフルエンザの流行に際し、想定外の事態にも冷静に対応できたこと(緊急時の迅速な対応)。勤務医の疲弊を防ぎ、勤務医の定着、小児科医の増加につなげる可能性を見出せたこと(勤務医の定着・増加)。
  • 「周南こどもQQ」を通して、山口県周南地域という一地方の取り組み、すなわち基幹病院内に1次救急のためのこども急病センターを設置し運営することは、地域医療再生の第一歩になりうると確信する。この「周南こどもQQ」(地域基幹病院出務型かつ2次病院併設型)の小児救急医療は、全国のモデルになりうると期待している。

▲ ページトップへ

地域連携ささえあい小児診療に頴田病院が参加

“ささえあい”は、頴田病院の小児科診療再開に伴い、同院院長の本田宜久先生のご好意で、9月より内科医(家庭医を含む)の先生方が参加することとなりました。参加される先生は以下の7名です。 本田宜久先生、茂木恒俊先生、大杉泰弘先生、江本賢先生、吉田 伸先生 加藤千明先生、柏木秀行先生。

新聞掲載記事のご紹介

4/19 '09 西日本新聞

 西日本新聞社より、“地域連携ささえあい小児診療”の取材があり、4月19日同新聞の「医療健康」欄に掲載されました。写真は肘井孝之先生が、飯塚病院研修医(山田英明先生)の診察を見守っている場面です。また、この記事について小学6年生の読者より、西日本新聞社宛てにFAXにて感想が寄せられましたので併せてお知らせいたします。

2年が経過しました。(WiTH飯塚病院広報2008年12月号より)

 地域連携ささえあい小児診療は、2008年11月で丸2年が経過しました。院内職員向け広報誌の“WiTH12月号”の特集として、『ささえあい2周年の振り返り』として、飯塚病院小児科現部長の岩元、歴代部長の荒木久昭先生と森田潤先生に投稿をお願いしました。飯塚病院小児科部長 岩元二郎

■小児救急医療について
 産科・小児科の全国的な医療崩壊の嵐が吹き荒れる中、筑豊地域の小児救急・周産期医療の拠点である飯塚病院は大丈夫なのかという一抹の不安が募ります。
現在常勤の小児科医は8名、救急外来とNICU当直の2人体制のため、月平均8回の当直を余儀なくされています。このまま病院小児科医単独で、筑豊地域の小児救急医療を遂行しようとするなら、疲弊、立ち去り、崩壊は避けられない状況です。頼みの綱の大学医局も昨今の医師不足のため、関連病院への派遣能力が極端に低下し、これ以上の増員は困難な状況となっています。一方、小児医療の守備範囲は非常に幅広く、新生児から思春期まで、身体疾患のみならず、こころの問題、小児保健や障害児の医療・虐待などの社会的な問題にも幅広く対応せざるを得ない診療科です。筑豊地域の小児医療を万全なものにしていくには、現在の8名の人員では明らかに不足しています。医療崩壊の危機は目の前に差し迫って来た訳です。そのような中、2年前に始まったのが地域連携ささえあい小児診療、通称“ささえあい”です。“ささえあい”という素敵な名前は、岩佐紀輝経営管理部長が命名したものです。
■“ささえあい”の2年間を振り返って
 院内に掲示されているささえあいのポスターをご存知かと思います。開始当初は16名の登録医でしたが現在は22名で、筑豊地域だけでなく圏外(篠栗地区)からも参加されています。地域の小児科医が団結して夜間診療を支えていこうというのが大きな柱ですが、われわれ勤務医の負担軽減にもつながっています。さらには研修医が“ささえあい”に関わることにより、地域医療の実状を肌で感じてもらっています。地元医師会の協力のもと、民間病院に地域の小児科医が集い、研修医も関わり、しかも1次から3次までの小児救急医療が自己完結できるのは全国的にも稀で、「飯塚方式」といわれ、マスコミにも注目される存在になってきました。救急外来では、“ささえあい”以外でも、相乗効果として小児科医以外の医師(家庭医、専修医)の協力が得られるようになってきました。医師だけでなく、看護師やコメディカル、事務方の皆様方の支援により、小児医療に明るい光が差し込んできました。まさしく飯塚病院の底力を感じているところです。この場をお借りして皆様方に衷心より感謝申し上げます。
■ストップ・ザ・医療崩壊
 最後に医療崩壊を阻止するための4つのキーワードを取り上げてみたいと思います。まずは小児科という組織がまとまる力、“団結力”です。つぎに他科や他部署、地域と繋がる力、“連携力”です。団結力と連携力を発揮していくには、ふたつのあい(愛)、“ふれあい”と“ささえあい”が必要です。人は互いに触れ合うことによって安心を得、支え支えられることによって満足を得ます。病院の仲間が触れ合って、支えあいながら団結し、地域社会と連携していくことが医療崩壊を阻止し、安全安心の医療を提供できるものと信じています。

荒木小児科医院 院長 荒木 久昭

 小児医療、特に夜間の救急に対する世間の考え方が、時代の移り変わりとともに変化してきており、この地区(嘉飯山・田川・直鞍)では、飯塚病院の救急外来に来院する患者数は年々増加傾向にある。勤務している小児科医は月に7~8回以上もの当直を強いられており、その労働条件は年々悪くなって本来の業務にも支障をきたすようになった。
 そのため、岩元部長と筑豊小児科医会との協議の結果「地域連携ささえあい小児診療」を開始した。開業医が救急外来の一次患者を担当し、そこで研修医を指導しながら外来小児科学を実践するこの仕組みは、まだ他にほとんど例もなく、画期的なものである。実際に行ってみると診療記録のコンピュータによる入力など、我々が経験した事がないシステムに戸惑う事も多々あったが、事務専任のクラークを導入していただくなどして、ずいぶんスムーズに仕事ができるようになってきた。実際の診療には、いつもの倍くらいの時間がかかり、精神的にもかなり気を使うが、研修医のうち誰かが将来小児科医を目指してくれればとの思いで診療している。
 最近、田川医師会で二次病院から「夜間の救急外来での軽症患者への対処で本来の業務(2次輪番)に支障をきたしており、開業医でもう少し何とかして欲しい」との要望があり、医師会の救急委員会にて協議中である。この中で問題となったのは、救急外来のコンビニ化、軽症患者の救急車の使用、開業医の時間外診療に対する非積極性(開業医のところでは、時間外・夜間は検査ができず、調剤薬局も閉まっており、1人で診療にあたる事は困難である。)などで、合わせて患者さんの意識改革も必要である。具体的には、#8000番のさらなる活用を図り、軽症患者からは自費徴収等によるコンビニ化の抑制、開業医が週2回くらい診療時間を1~2時間ほど延長して診療にあたるなど、今後検討し改善する点があると思われる。またこの企画に賛同する先生をこの地区では小児科医に限らず、内科・小児科の看板を掲げ実際に診療にあたっておられる先生にも参加していただきマン・パワーを確保しなくては、今後の運営にも影響をきたすのではないだろうかと危惧している。

こどもクリニックもりた 院長 森田 潤

 月1回とはいえ、1日の診療終了直後に聴診器をふたたび拾い上げて出かけるのは少々思い切りが必要ですが、行けば若い人たちに囲まれ指導者気分になります。「地域連携ささえあい小児診療」の特徴は、民間病院に筑豊の小児科医の約7割が結集した事です。中には公立病院の医師もおり、参加医師のコンセンサスは、集約化への段階に向いていることの反映だと考えます。さらに広域化も実現しており、飯塚・田川・直方の三医師会の地域をカバーしています。今後、この広域化が救急医療だけでなく、病診連携・保健・福祉領域においてシステム化した協働ができればさらに意味のあるものとなり、大学病院がない地域の1つのモデルケースとなり得るでしょう。
 飯塚病院のめざましい発展は、救急の充実と研修医教育によるものと考えます。この2つが一体となって“ささえあい”にも活用されています。診察している傍らには1年目の研修医と医療秘書としての九工大の学生が寄り添っており、真剣な顔をして聞き入っています。気がつけば背後に総合診療科のドクターがじっと見ています。お茶を飲んでいるとナースが本を持ってきて質問してきます。貴重なケースでは本を持ち寄って、おぼろげな記憶での講義が始まることも。困難な手技をいとも簡単そうにやってのける救急部の看護師には時間の余裕をずいぶんともらっています。感謝。
 昭和56年にいわゆる「熊本方式」として、熊本県で開業医と大学・病院勤務医が急患センターに出務する形が始まっています。その後鹿児島等でも同様の形式が取られましたが、多くは”緊急外受診”により崩壊しました。時間外料金でこれらの受診を抑制しようとの試みがある一方、Walk-in ER型の施設ではトリアージ機能の充実が期待されます。現在は、トリアージあっての救急であり、常にさらなるbrush upと振り返りが求められています。どちらの方式にしても、医師とコメディカルだけでなく地域住民を巻きこんだ啓発活動が必要な時期であることは明らかです。子供が成長してしまえば“喉元過ぎれば...”と興味のなくなる保護者が多い中、継続できる住民の組織作りができればよいのですが。そうすれば、利用者からの意見が自然とプッシュされて、取り入れることが可能となるでしょう。
 今後の課題は、参加医師へ勉強の場を与えること(指導者としての教育も)と救急医療の標準化、そして地域啓発活動だと考えます。具体的に以下に述べます。

  1. さらなる広域からの参加医のリクルート
  2. 参加医に指導法を含めた、最新医学知識の教育の場を作る
  3. 受診した症例のケーススタディを定期的に行う(webやメールにても可)
  4. 代表的な疾患(発熱・下痢等)に関しての診断・治療の標準化を行う
  5. 救急の現状(窮状?)を常に発信し続ける
  6. 患者組織のサポート (救急利用者との協働)

 最後に、2年前に県医師会で「筑豊地区の現状と”ささえあい医療”の今から」として話をした時のまとめを書き留めます。
「飯塚市内に小児科を主診療科とする開業医師は8人、平均年齢が61歳と高齢化が進んでいる。筑豊全域では計22名。これに少数の多忙な勤務小児科医(14人)が加わるのみである。筑豊地区の小児救急体制は、3ヶ所の休日夜間急患センターがあり、土・日・祭日の準夜帯に加え、直鞍(直方・鞍手)地区は第2土曜日、田川は日祭日の昼に診療が加わる。平日の準夜・深夜に関してはカバーはしていない。
3次である飯塚病院救命センターの受診者数は増えており、その増加率は昼の比率をはるかに上回る形で夜間受診が増加している。平日を含め1日あたり46名と多いが94%は1次患者である。勤務医にこれ以上の夜間診療の負担は無理であるが(月8回の当直)、現実として夜間受診にアクセルがかかったままである。では、我々は何ができるかといえば、開業医が救命センターでの診療に参加するしかない、と考えている。小児科医の多い都会では専門医診療を前提とした1次救急センター開設という別の選択もあるであろうが、どちらにせよ公立病院を含め集約化が必要である。H18.11月より飯塚病院でスタートする地域連携『ささえあい医療』では、直方、田川、飯塚3医師会の協力を得て会員小児科医16名が参加している。 月に1回19時~22時の間1次医療をして、研修医が付く。研修医指導も行いながら救命センターに出務するというシステムを開始した。これにより、開業医が救急医療とともに次世代のための医学教育へも参画がしやすくなるものと考えられる。地区のほとんどの開業小児科医(7割)が参加しており、一体となっただけに医師会の役割も大きい。今後は我々のモチベーションの維持と、卒後教育としての側面を持たせる必要がある。
私見だが、小児救急への中長期的な対策として、一つは治療の標準化を行ってリスクを減らす(内科医を含め参画がしやすくなる)。それから、救急のエキスパートたちが実際の診療に忙殺されることなく、教育と指導を各地区で行い小児救急に興味のある人たち(医師・ナース)を育ててほしい。まずは小児救急という専門分野の確立と指導医の育成が必要であろう。また、Hib(インフルエンザ桿菌)ワクチンの導入・拡大は救急医療の実態を変える可能性があると思われる。」


▲ ページトップへ

第1回「地域連携ささえあい小児診療」意見交換会が開催されました。(文責;飯塚病院小児科部長 岩元二郎)

平成19年9月28日(金)19:30〜22:00(のがみプレジデントホテル)

  • 登録医の先生方と特別ゲストとして筑後小児科医会会長 原口憲二先生、久留米医師会理事の井上謙吉先生をお招きしました。飯塚病院からは、田中院長はじめ鮎川副院長、花岡看護部長、岩佐経営管理部長と現在小児科研修中の研修医2名(西連寺、福正)、当小児科医局員、事務方、ふれあいセンター職員の総勢40名の参加がありました。読売新聞社の取材もあり、筑豊版として掲載(9月30日)されました。井上 謙吉先生には、現在聖マリア病院で行われている「久留米広域小児救急医療センター」の概要についてお話をして頂きました。「久留米広域」は、紆余曲折の末、5市5町の行政を巻き込んで、佐賀県の鳥栖・三養基医師会を含む筑後地域の7医師会と久留米大学、聖マリア病院が一体となって出来上がった傑作です。「ささえあい」は、筑豊の3医師会の協賛は得ているものの、行政の関与は全くなく、飯塚病院という民間病院が主導で運営していることと研修医教育が最大の売りであると思います。「久留米広域」と「ささえあい」を対比した表をお示しします。

「久留米広域小児救急センター」と「地域連携ささえあい小児診療」対比表

平成19年9月現在

久留米広域小児救急センター

 事業主体行政: 久留米広域市町村圏組合
 運営:     医師会 開始年平成18年4月
 診療場所:   聖マリア病院救命救急センター 病床数1388床
 センター総受診者数:(H16年)60,566人
 同小児受診者数:22,736人(62人/日)    
 診療時間:   午後7時〜11時(4時間)
 出務医:    約70名(うち開業医31名)
 診察日:    毎日(開業医は水、木)
 スタッフ:   医師1名、専任看護師、専任事務
 目的:  1.病院勤務医の負担軽減
      2.準夜帯の待ち時間短縮
      3.時間外救急医療体制の充実

地域連携ささえあい小児診療

飯塚病院
飯塚病院 平成18年11月
飯塚病院救命救急センター 1116床
43,021人
14,026人(38人/日)
午後7時〜10時(3時間)
18名(開業医16名、勤務医2名)
週3〜4日平日のみ
医師1名、(看護師)、研修医1名
1.地域小児科による医療支援
2.病院勤務医の負担軽減
3.経営改善(診療報酬改定)
4.研修医教育

▲ ページトップへ