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産経新聞6/15/09社説

医療問題をカネ(報酬)に結びつけた浅はかな記事。責任を持って、勉強して書いて欲しい岩崎慶市さん!
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産経新聞(2009年6月15日朝刊)
日曜経済講座:納税者の視点で見直せ--開業医と勤務医の診療報酬配分〔要約〕 医師の人件費に当たる診療報酬改定を控え、日本医師会などが医師不足解消を理由に大幅引き上げ論を展開している。国民医療費は10年後には56兆円に達すると見込まれ、内訳は保険料49%、税金37%、患者負担14%であり、国民負担が急増する。使途の50%は医師などの人件費であり、診療報酬には多額の税金が注ぎ込まれている。同様に税金を財源とする公務員給与が民間準拠であるのに比べ、診療報酬の引き下げ幅ははるかに小さく、前回改定では逆に引き上げられた。民間では急激な景気悪化により、給与削減・雇用不安に直面している中、医師の給与をさらに上げよ、との主張に納税者が納得できるか。


■医師不足の本質は偏在:大義名分である「医師不足解消」も説得力に欠ける。この2年間で医学部定員は1割以上も増員され、医師会が求めていた医師数は確保される。にも関らず医師不足が解消されないのは、問題の本質が勤務医・開業医、地域、診療科間の偏在であるため。この構造を支えるのが診療報酬のいびつな配分であり、それを大胆に見直さない限り、医師数を増やしても偏在は拡大するだけだろう。勤務医と開業医の年収格差はデータからも明らか。医師会は税金・借入金返済等を理由に反論しているが、その理屈はサラリーマンには理解しがたい。開業医には定年がなく、週休2.5日、時間外診療も往診もほとんどせずに、この高報酬をずっと維持できる。
■米の報酬体系は真逆:米国でも医師の高報酬が問題となっているが、専門性が高く勤務が厳しい診療科ほど報酬が高い。これが常識だろう。日本も優遇され過ぎた開業医の診療報酬を大胆に削り、その分を不足する勤務医や診療科に配分すれば、診療報酬全体を上げなくても医師不足は是正される。それができないのは、配分を決める中医協で開業医を中心とする医師会の影響力が依然として圧倒的であるため。配分見直しを断行するには、納税者が納得できるような別の機関が中医協を主導する場が必要。また、医師には教育段階から多額の税金を投入している以上、米国・ドイツのように配置規制も考えるべきだ。納税者の視点を欠いた護送船団的“医療村”に任せておいては、医師不足解消も国民負担抑制もままならない。